カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で、小さく身を丸めてじっと朝が来るのを待っていた。草木も眠る、丑三つ時。
今が何月何日なのかはわからない。けれど、季節感は部屋の中でもわかった。今は冬に溶け込まれそうな秋。窓のサッシに赤茶色のお化粧をした葉っぱが乗っていた。次の朝が来たら、もういなくなっていた。
いつからここですごしているの?
いつからここですごしていたの?
いつになったらここからでるの?
いつになったらここからでられるの?
「もしかしたらね」
自分のこころの中の問いかけに、こっそりつぶやいて答えを言おうとしたらその先が無かった。 『もしかしたらね』 言おうとした言葉の先がわからなくなった。目の前からすぅと遠ざかって、追いかけたら見失っちゃって、何処に行っちゃったかわからなくなった。
失ったものをもう一度この手の中に収めるのはすごく難しいことなんだって、昔ママが言ったことがようやくわかったよ。
わたしはいつから何もかもを失ったんだろう。何も無くなっていって、唯一の言葉も消えちゃった。なぁんにも、ないや。
こんなわたしは、死んでいようが生きていようがおんなじなのかもね。
「ちょっと、寒くなってきたなぁ」
季節の変わり目をいう言葉も、わたしの口から出ることはなくなってしまった。
さよなら、もうそろそろその言葉にこんにちわするときがやってきたみたい。
朝の苗、家出の最後の触れる場所、十数分でトんでゆく。
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Be he alive or be he dead→生きていようと死んでいようと、ですが、なかのひとは元ネタを知らなくってニュアンスで書いてみました……。
最後の一文は「わたし」の最期ということです。マザーグースっぽくして見ただけです。
解った方は大阪でわたしと握手(←
一応答え置いておきますね つ【首吊り】
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